下腹部の痛み(真ん中・右・左)

 

早急に受診すべき下腹部痛

  • お腹の特定の箇所を押すと痛みが強くなる
  • 動くと痛みが強くなる
  • 嘔吐を伴う
  • 下血や血便が起こる
  • 眠れない程に痛みが強く、痛みで起きてしまう

受診した方が良い症状

  • 発熱、嘔吐、下痢が起こる
  • 下痢や便秘が頻発する
  • 痛みがなかなか治らない、痛みが頻発する

考えられる疾患

右下腹部痛

婦人科系疾患 卵巣腫瘍茎捻転、卵巣出血、卵巣腫瘍、子宮内膜症、子宮筋腫、骨盤腹膜炎、異所性妊娠、附属器(卵巣・卵管)炎、附属器(卵巣・卵管)膿瘍など
男性疾患 精巣上体炎、前立腺炎など
消化器系疾患 虫垂炎、炎症性腸疾患、大腸憩室炎、大腸炎、過敏性腸症候群、鼠経ヘルニアなど
尿路系疾患 尿路感染症、尿路結石など
その他 動脈瘤破裂、腸腰筋膿瘍、動脈解離、後腹膜出血など

左下腹部痛

男性疾患 精巣上体炎、前立腺炎など
婦人科系疾患 異所性妊娠、卵巣腫瘍、卵巣腫瘍茎捻転、卵巣出血、子宮内膜症、子宮筋腫、骨盤腹膜炎、附属器(卵巣・卵管)炎、附属器(卵巣・卵管)膿瘍など
尿路系疾患 尿路感染症、尿路結石など
消化器系疾患 大腸炎(虚血性・感染性)、便秘、大腸憩室炎、腸閉塞、大腸がん、炎症性腸疾患 など
その他 動脈瘤破裂、腸腰筋膿瘍、動脈解離、後腹膜出血など

臍下部(へその周辺)、下腹部全体の痛み

男性疾患 精巣上体炎、前立腺炎など
婦人科系疾患 異所性妊娠、卵巣腫瘍茎捻転、卵巣出血、子宮内膜症、子宮筋腫、卵巣腫瘍、骨盤腹膜炎など
消化器系疾患 感染性腸炎、大腸炎、大腸憩室炎、過敏性腸症候群、炎症性腸疾患、虫垂炎など

想定される消化器関連疾患

便秘

「排便の量が減った」「残便感がある」「満足に排便できない」「便が硬い」「腹部の張り」といった症状がある場合は便秘です。もし、2〜3日に1度しか排便できないとしても、習慣的かつ円滑に排便できていて、排便してスッキリする感覚があれば、便秘には該当しません。一方で、毎日排便しても前述のような症状がある方は、便秘に当てはまります。便秘は、腸の疾患による「器質性便秘」と大腸の機能低下による「機能性便秘」に大別されます。
いずれも左下腹部の大腸のS状結腸で起こることがほとんどで、下腹部の痛みを伴うこともあります。
運動不足や不規則な食生活といった生活習慣の乱れ、全身疾患、骨盤底や腸の機能低下、お薬の副作用によって便秘になることもあります。
また、過去に肝臓や子宮などの手術をしたことがある方や、腸の開腹手術をしたことがある方は、腸が癒着して便秘になりやすいです。さらに、ガスや便が全くでない方は、腸閉塞の恐れもあります。
その他、大腸がんの症状や、自律神経の乱れによる腸の蠕動運動の低下が原因となる過敏性腸症候群などがきっかけとなり、便秘になることもあります。腹痛を伴う便秘がある方は特に注意が必要です。お早目に受診してください。

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大腸憩室炎

消化管壁の一部が外側に突出し、袋状になったものが憩室です。憩室に便が詰まって細菌感染が起こると、大腸憩室炎の発症につながります。憩室は大腸で生じやすく、日本人では上行結腸で生じやすいです。腸内で憩室が生じても、明らかな症状が起こることは珍しいですが、S状結腸で生じると左下腹部痛が起こります。また、憩室で起こる炎症や出血などの症状があれば、血便の症状も現れます。

炎症性腸疾患

クローン病や潰瘍性大腸炎といった、大腸や小腸で長期的な炎症や潰瘍が生じる疾患が炎症性腸疾患です。いずれも右下腹部の大腸や小腸で生じることによって、血便、下痢、右下腹部痛といった症状が現れます。

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過敏性腸症候群

慢性的な腹痛、下痢、便秘などの便通異常があり、血液検査や内視鏡検査では器質的な病変が発見されない疾患が、過敏性腸症候群(IBS)です。下痢や便秘などの便通異常のタイプに応じて、下痢型、便秘型、混合型に大別されます。
日本には約1,700万人(日本の人口の約10〜14%)の患者さんがいると考えられています。中でも、若年層の患者さんが多く、特に男性が発症しやすいです。過敏性腸症候群は、命の危険な状態を招くことはありませんが、つらい症状が日常生活への悪影響を及ぼしやすいです。食欲不振、胃痛といった胃の症状のみならず。不眠、めまい、抑うつ、不安感、のどの詰まり感、頭痛、肩こりなどの腹部以外の症状が起こることがあります。

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感染性腸炎

大部分はウイルスや細菌の感染によって発症します。ウイルス性腸炎は秋から冬頃に多く、細菌性腸炎は夏に多くみられます。
ウイルス性の原因としては、ノロウイルスとロタウイルスが多く、細菌性腸炎の代表的な原因は、カンピロバクター、腸管出血性大腸菌、ビブリオ、およびサルモネラです。さらに、寄生虫も原因になり得ます。
ウイルス性腸炎では、小腸上皮の吸収障害が起こり、水溶性下痢と嘔吐がみられます。感染しても症状が起こらない場合や、軽度の風邪と同じような症状が起こる場合もあります。細菌性腸炎では下部小腸から深部大腸に炎症が起きて、発熱、下痢、腹痛を認めますが、血便は比較的少ないです。腸管出血性大腸炎では血便が認められます。

虫垂炎

盲腸の先端の虫垂で炎症が起こる疾患が虫垂炎(通称:盲腸)です。
右下腹部の痛みがよくある症状であり、発症してすぐは、みぞおち周辺で痛みが起こり、徐々に右下腹部に痛みが移ります。へそと右側の腰骨の出っ張っている場所を結ぶ線上で、右下から3分の1のところを押すと痛みを感じます。痛み以外にも、食欲不振や吐き気などの症状も現れます。

大腸がん

大腸がんでは、便秘や下痢といった便通異常、腹痛、血便などの症状がよく知られています。初期にはほとんど症状が現れず、肛門からの出血で受診した際や大腸がん検診の際に偶然発見されることが多いです。
進行した大腸がんになると、腸管内部が狭窄するため、がんの大きさや生じた場所によっては便が正常に通過しなくなります。したがって、下痢や便秘などの便通異常に至り、腸閉塞のような症状や腹痛が起こるようになります。

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虚血性腸炎

何らかの原因で腸の血行が悪化することが原因となる疾患が虚血性腸炎です。便秘になりやすい女性の発症が目立ち、若い方よりも高齢の方が多いです。
吐き気や下腹部痛、血便や下痢などの症状が起こります。

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下腹部痛の検査

大腸カメラ検査


大腸カメラ大腸カメラ検査では、肛門からスコープを挿入し、直腸から盲腸に至る大腸や小腸の一部の状態を検査します。
大腸粘膜を確認することで、大腸で生じた炎症、ポリープ、がんなどの疾患を発見できます。
当クリニックでは、内視鏡専門医・指導医の院長が大腸カメラ検査を実施します。また、ポリープなどの病変を発見した場合は、最先端のフルズーム拡大内視鏡スコープを用いてリアルタイムに病変を100倍に拡大観察してピットパターン診断を行い、内視鏡切除すべき病変かどうかを診断し、切除することができますので、入院も不要です。さらに、当クリニックでは炭酸ガスや鎮静剤を使用して無痛大腸カメラ検査を行っております。


大腸カメラ検査

腹部超音波検査


超音波によって血流や内臓の状態をチェックします。
肌に検査用のゼリーを塗布し、プローブを当てて検査を行います。
腎臓、胆道、膵臓、肝臓などの臓器、甲状腺、乳腺、心臓、血管などを詳しく検査することが可能であり、所要時間も約10〜15分です。
検査で違和感や痛みが起こることはほとんどありませんのでご安心ください。

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